真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ブロロロ……

 外を走るバイクの音と、スタジオ内で誰かが談笑する声が遠くに聞こえた。




「…………え?」

「お前だよ、バカ」

「……お前……て……」


 
 思考停止する私の目を、晴翔は嘘のない目でじっと見つめている。



「っ……、」



 わた、し?


 
「え……と、」



 どうしよう

 どうしよう

 晴翔が、私を……?

 そんなこと、今まで一度も考えもしなかった

 だって私たちは本当に家族同然で、30過ぎても相手がいなかったら最悪結婚しよっか、なんて冗談で笑い合うような、そんな関係で……

 私、さっきなんて言った?

 ううん、今まで私、晴翔になんて言ってきた?

 私今まで、全然、



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