真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……はっ」

「!」



 晴翔が、心底バカにしたような顔で笑った。



「なわけねーだろブワァーーーカ!」


 
 !?

 

「なんで俺が日向みたいなバカを好きになんなきゃなんねーんだよバカバカバーカ!」


 晴翔はそう言い捨てて立ち上がり、近くにあったカンビンのゴミ箱に飲み干した缶を捨てに行く。
 

「ば!?バカって言い過ぎだよ!バカって言うほうがバカなんだよ!」

「そんなのはバカが信じる迷信でーすバーカバーカ」

「え!?そうなの!?ばっ、バカ!バカバカバカ!」


 慌てて言い返すと、振り返った晴翔は、目を細めて困ったように笑っていた。


「ハハッ。そうだな。バカなのは俺だな」

「……へ?」


 突然けしかけてきた試合をこれまた突然降板してしまった晴翔に、拍子抜けしてまた間抜けな声を出してしまう。


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