真面目な鳩井の、キスが甘い。
「鳩井ー」


 晴翔が廊下の奥に声をかけて、反射的にそっちを見る。

 鳩井が角からそっと顔を出した。


「あ!鳩井!忘れ物あったー?」

「……うん」


 小さく頷いてこちらに歩いてくる鳩井は、なぜか少し気まずそうに見える。


「鳩井。早くこのバカ連れてけよ」


 晴翔が親指で私を指し示した。

 
「!?またバカって言った!」

「おう。だってお前バカだろ」

「バカじゃないよ!日向だよ!」

「ぶっ」


 晴翔が盛大に笑いだす。


「あっはは!そういうとこがバカなんだよ」

「~~~っ、なんなのもぉー!!行こ!鳩井!」


 反抗期くんの相手なんかするだけ無駄だ!


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