真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ⋈







 放課後の保健室。

 私と鳩井は、一か月半ぶりに、キスをしてる。



「ん……波木さん、もうちょっと……」



 鳩井は上ずった声で私のうなじに熱い手で触って引き寄せて、緩急をつけて唇を押し付けては、文字通り食べるようにキスをする。

 
 甘い、熱い、優しいキス。



「……、っ」


 
 それは数十秒前だったか、数分前だったか、それとももっと前のことだったかわからない。

 保健室に入ってすぐ「おまたせー!」と笑った私に、鳩井は「……うん」とだけ言って、私の手を引き込んですぐにキスをし始めた。

 
 鳩井の優しいけどちょっとだけ強引な手つきや息遣い、何度も求めてくる唇と、大きくて速い心臓の音まで

 その全部から、鳩井の気持ちが伝わってくるみたいで。

 苦しくなってることにも気づかないくらい、夢中でキスをする。

 

「ん……は、」


 
『好き』『好き』『好きだよ』


 1ヶ月半分の『好き』が溢れ出したみたいな、甘い、甘いキス。


 
< 242 / 320 >

この作品をシェア

pagetop