真面目な鳩井の、キスが甘い。
 突然妹ちゃんが悲鳴をあげてバタン!と扉を閉めた。


「大変!大変!お母さん!お母さぁーーーん!!」


 扉の奥でも聞こえるほどの妹ちゃんの大声に続き、お母さんらしき人の声が聞こえる。

 
「もうなによ音色(ねいろ)ーそんな大きい声出して!お兄ちゃん寝てるんだから静かにしなさい!」

「違うの!やばいの!」

「なにが?」

「ほんとにヤバいの!!来て、ほんとに!やばいから!」

「えー?」


 再び鳩井家の扉がガチャリと開いた。


「何よヤバイヤバイってー……」


 迷惑そうな顔を覗かせたその人と、ハタ、と目があった。

 涼やかな目元と薄目の唇、線の細い体。

 あっ、絶対鳩井のお母さんだ。



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