真面目な鳩井の、キスが甘い。
「えっ、えっ、聞いてないよ!!」

「言ってないね」

「なんで!?いつ!?」

「……夏休み中」

「え!?ってことは、熱出す前!?」

「うん」

「え……えぇ!?」


 あれ? あれ!?

 待って、でも、夏休み明けてからのキスの方が、甘かっ……、てか、


「っ、!?!?!?」


 なんでか恥ずかしくなって、ぶわわっと顔が熱くなってバッと顔を隠す。


「っもぉ~~~!!なんで言ってくれなかったの!!そんな大事なことぉー!!」

「なんとなく」

「なんとなくて!!もぉ!!えぇ!!よかったけど!!よかったけど~~~!!」


 昨夜悩みに悩んだあの時間、なんだったんだ!!


「……言ったら口実が減るかなって」

「口実……?」


 鳩井は少しの間を置いてから言った。


「キスする口実」


 私はハッと顔をあげて耳を赤くさせる鳩井を見る。


 それって、つまり、


< 316 / 320 >

この作品をシェア

pagetop