真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……キス、したいの?」


 もうキス魔じゃないのに……?


「うん」

「……私、と……?」


 言いながらまたボロボロと涙が溢れてきちゃって、顔がブサイクになっていくのを感じる。

 鳩井はそんな私を引き寄せて、抱きしめる。


「……当たり前でしょ」




 ――嫌じゃない?




 ……!




 それは、鳩井の部屋でキスしたあとに、鳩井が泣きそうな声で私に言ったセリフ。


 もしかして

 鳩井も同じように、不安だった……?



「っ……、鳩井……!」


 私は鳩井の顔が見たくなって、顔をあげる。

 鳩井の温かい目と目があって、気持ちが溢れ出した。
 

「っ、好き!」

「……うん」

「大好き!!」

「うん」

「いっぱいいっぱい、キスしよぉ~!!」


 鳩井の首に巻きつくように抱きつくと、その勢いで鳩井は私ごとベッドに倒れ込んだ。


「……うん」


 私に押し倒された鳩井は、私の両頬に手を添えて、微笑んだ。


「しよ。いっぱい」


< 317 / 320 >

この作品をシェア

pagetop