真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……」



 鳩井の沈黙が、肯定してるようにとれた。

 もし夢と同じ症状だとしたら……

 いや、とにかく、保健室……!

 私は鳩井を抱えようと手を伸ばした。


「はと… 「触んないで」


 強めに言って私の手を払った鳩井は、フラ、と立ち上がって歩き出そうとする。


「鳩井!危ないよ、肩かすよ」

「……いい」


 鳩井は頑なに私の手を払ってふらつきながら歩き出すけど、眩暈がしたのかよろけて壁に激突する。

 そして壁伝いにずり落ちて力なく座り込んでしまった。


「っ……、」

「鳩井!」


 駆け寄って覗き込んだ鳩井の表情は、


「はぁ……、は……っ」


 普段の鳩井とはかけ離れて、色っぽくて。
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