真面目な鳩井の、キスが甘い。
 なんで急に治ったの?それになんで突然キス?

 …え、もしかしてさっきの人工呼吸?

 人工呼吸って病人の方からできるの?

 ん?人工呼吸ってなんだっけ……??



 頭にたくさんのクエスチョンマークを浮かべる私に、顔色のよさそうな鳩井が身を乗り出して手を伸ばした。


「!?」


 同時に、目の前が暗くなる。

 鳩井の手に目元を覆われたからだ。

 なに!?今度はなに……!?

 身体を震わせる私に、鳩井が静かに言った。


「…大丈夫。もうなにもしない」


 鳩井の静かな声に、さっきまで爆速だったはずの心臓の音が今度は怖いぐらいに急速に落ち着いていく。


 あれ……?

 なんか、

 眠くなってきた……かも……?




「……ごめんね、波木さん」


 耳元で聞こえた鳩井の低い声を最後に、私の意識はプツリと途絶えた。

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