真面目な鳩井の、キスが甘い。
「へ……?」


思いもよらない言葉に固まる私に、鳩井が向き直る。


「波木さんの隣、楽しかった。波木さん、急に変なことしたりするし」

「えっ」


そんな変なことしてた?

ていうか……楽しかった……って、


「俺の方こそごめん。席替えの日、発作起きそうになって……焦ってちょっと強い口調で言った気がする」

「……!」



『近い』って、そういうこと…!?



「……さっきも、嬉しかった」

「ん、え、さっき……?なんだっけ?」

「松下先生から……その……、助けてくれて」

「あ……あー……」


……どうしよう。また胸が、苦しい。


「昨日も……助けようとしてくれて、嬉しかった。ありがとう」


「っ……、」


鳩井が……私を煩わしく思ってるだろうと思ってた鳩井が、

私の方をまっすぐ見つめて『嬉しかった』なんて言うから。


……なんか、泣きそう。


「それなのに……嫌なことしてごめん」

「え……?」
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