真面目な鳩井の、キスが甘い。
「……お」




 私はごくんと唾を飲んだ。




「お……お気をつけて」




 なんて、言えるわけがないんだよなぁ……。




「…………ふ」



「!」





 鳩井が、少し俯いて片側だけ口角を上げた。





「……うん。気をつける」





 そう言って音楽室へと戻っていく鳩井の背中を見送りながら、





「っ……、」







 好き。







 ずっと無くそうとしてた気持ちが溢れ出す。




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