真面目な鳩井の、キスが甘い。
 そうだよね、薬だもんね。毎日飲まなきゃいけないなんて……大変だ。

 私は紅茶にミルクをとろりと落として、ゆっくりとそれが混ざっていくのを眺める。


「……パートナー、出来ればいいのにね」


 嫌だけどね。めっちゃ嫌だけどね。

 鳩井が元気でいるのが一番いいと思うんだ。

 ……嫌だけどね。



「中坊ん時に色々あったからなぁ」

「?」

「付き合ってた子がいたんだとー」

「え!?」

 鳩井、彼女いたの!?

 目を大きく広げて驚く私に、鬼ちゃんがヤバい、という顔をする。

「……鳩井には俺が言ったって言うなよ?」

 苦い顔でそう言った鬼ちゃんに、前のめりになってうんうんと大きく頷く。

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