真面目な鳩井の、キスが甘い。
「鳩井!」


「!」




 ひどく心配した顔の波木さんがすぐ近くに来て、僕の顔を覗き込んでいた。




「……!?」




 ぶわっと、何かが体をかけめぐる。



 あ ヤバ



 慌ててベッドの端に後ずさって波木さんから距離を取った。



「っ、な……なに……?」

「あ……ごめん、また具合悪いのかと、思って……ごめんね」


 波木さんが申し訳なさそうに少し後ろに下がる。


 ……あ

 またやってしまった

 波木さんは何も悪くないのに……


 いつの間にか忘れていた胃の痛みがぶり返して、思わず胃をおさえる。


「っ……、」

「え……?鳩井?やっぱりどっか痛い?」

「……大丈夫。なんともない」

「でも、顔色が、」

「波木さんはどうしたの?何か用事?」

「へ!?」

< 78 / 320 >

この作品をシェア

pagetop