真面目な鳩井の、キスが甘い。
「撮影の時に、セクシーな感じでーとか言われてもうまく出来なくて、なんか私にはセクシーが足りないらしくって、それでセクシー落ちてないかなって相談したらセクシーには経験が必要だから、つまり、セクシーがセクシーで、アマルフィーに行くにはセクシーを拾わなくちゃいけなくて、えっとー」


 セクシーがゲシュタルト崩壊していく中で、突然出てきたアマルフィーがなんなのか気になるけど、ひとまず懸命に話す波木さんが全部言い終えるまで待つことにする。



「だから、つまり……そう、キスフレにならない!?」





 ピタッ。


 時間が止まった。






「…………」






 完全に理解の域を超えた僕は、波木さんが言った聞きなれない単語を口に出してみる。


「……キスフレ?」

「うん、うん、キス、キスフレ……!」

「キスフレって……?」

「えっと、キ、キスするお友達!鳩井はキスで元気になって、私はキスで経験値を上げられて、そしたらお互いイェーイ!って感じじゃん!?」

「お互い……イェーイ……」




 波木さんと僕が、キスするお友達……?
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