真面目な鳩井の、キスが甘い。

 『なんで?』

 『近寄んないでって言った』




 そう言った鳩井は、私に苛立ちをぶつけてるように見せかけて、自分を責めてるようだった。


 今までもずっと、そうやって耐えてきたのかなって思ったらいてもたってもいられなかった。


 鬼ちゃんは「確かにムカつくな」とぼやいて、保健室の備品整理に取り掛かる。


「それにしてもキスフレ……キスフレンド?お互い好きな人ができるまでの、期間限定なんだってなぁ」

「ぐ」


 鬼ちゃんが強調した『期間限定』という単語に心をえぐられる。


「波木さんは好きな人いるんじゃなかったですっけー?」

「……」

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