真面目な鳩井の、キスが甘い。

 ⋈ 







 もうすぐ、夏。

 春に芽吹いた草花たちがより一層生き生きとして、少し歩くだけでも背中にじっとりと汗をかくようになった。



「あ。ボール取れた~イェーイ♪」



 私は眩しい青空の下、体操服姿でヘラヘラしてる。

 ちなみに今は体育の授業、球技大会の練習中。

 来月行われる球技大会の種目は、ドッジボール、3on3の二種で、私はドッジボールに出ることになった。


 私はさっき体の前で受けたボールを両手から片手に持ち直して、頭の横に掲げ、片足を一歩後ろに下げる。

 すると、相手チームの男子たちが息を吞む。

 そう。

 本来男女に分かれて行われるはずのドッジボール、私はなぜか男子たちの中にいる。



「いっきまーーーす☆」



 グラウンドの真ん中でそう掛け声をすると、男子たちが「来るぞ!!構えろ!!」と顔を青くしてジリ…と後ずさった。


 そして私は、


「えいっ」


 助走をつけてぶん投げた。


「「「ッキャ――!!」」」


 女子みたいな悲鳴とともに男子たちが逃げまどうのを、私の投げたボールはカーブを描きながら3人ほどアウトに追い込んだ。

 外野にいる男子が私のボールに押されてコケた。

 大袈裟だな、と思いながら私はフゥ、と息をつく。


「うーん、調子でないなぁ」


 昨日ちょっとだけ夜更かししちゃったからかな?
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