小児科医の恋愛事情 ～ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ～

コポコポコポ･･。
心地いい音と、いい香りで目が覚める。

「茉祐･･？」

ベッドには俺ひとり。
起き上がって、コーヒーの香りが漂うリビングのドアを開けた。

「おはよう。何時に起こしたらいいのか分からなくて････んっ」

まだパジャマ姿の彼女に、短いキスをする。

「茉祐、ちゃんと寝れた？　もし茉祐が寝れなかったなら、次からは別々にしよう」

そう言うと、ぽすっと前から抱きつかれた。
どうした･･？

「茉祐？」

「･･なんだか、嘘みたいだなって思って」

「ん？　どういうこと？」

「昨日から･･まだ信じられなくて」

顔も上げずに、俯いたまま小さな声でつぶやく。
何か、嘘みたいだと思わせてしまうようなことを言っただろうか。

俺は、抱きついていた彼女を離して顔をのぞき込む。
どうして、こんなに不安そうな表情をしているんだろう･･。

「好きだよ、茉祐」

「･･え？」

「また、泊まりに来ていい？　茉祐が嫌じゃなかったら、また一緒のベッドで寝ていいかな？」

「祐一郎････。うん、もちろん」

何か話したいことがあるようにも見えたけれど、それは今じゃなくてもいい。

付き合い始めたのは昨日だし、知り合ってからだって間もないのだ。
これから、お互いを知っていくうちに解決することだってあるだろうから。

「茉祐、ちゃんと寝れた？　もしかしてあまり眠れなくて早く目が覚めたとか？」

「ううん、そんなことない。朝、目が覚めた時も腕の中にいて『うわぁ』って思った･･」

恥ずかしそうに言う彼女を、俺はもう一度腕の中に入れた。