小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
夜間の呼び出しもあるからと、普段は飲まないはずの酒をリビングで飲んだ。
ウイスキーを、ロックで。
最初は考えることを拒否していた脳も、少しずつ酔いが回ってきてほぐれたのか、これまでのことをゆっくりと思い出した。
全て、繋がっているんだろうか。
全て、同じ人物のことを指しているんだろうか。
最初は、大翔だ。
『俺、茉祐子が困ってる時に話聞いてやれなくてさ。それどころか、責めたんだ』
この話を聞いた時、これが男のことだとは考えていなかった。
でも、何のことか、誰のことか、明日大翔に聞くことができるはずだ。
次は新大阪。
『まゆこ』と呼ぶ、落ち着いた低音の声。
そして、新神戸。
彼女を困惑させていた、後ろ姿の男。
最後が、さっきの出来事だ。
彼女の部屋から『それじゃ』と出てきた男。
・・・・誰なんだよ。
俺には見当もつかない。
ブブ・・ブブ・・。
振動はすぐにおさまり、着信ではないことを知らせる。
『ケーキありがとう。冷蔵庫に入れました。おやすみなさい』
・・・・。
彼女からのメッセージに返す言葉が見つからず、そのままにした。
『おやすみ』のひと言さえ、返せない自分に苦笑いする。
何かひと言でも発すれば、形になって溢れ出てしまいそうな感情が、胸の奥にある。
冷静でいられない代わりに、俺はしばらく心を閉ざそうと思った。
『彼女には、別の男がいる』
その事実から、目を背けるために。
俺は空になったグラスに、もう一杯分ウイスキーを継ぎ足し、できるだけ何も考えずにゆっくりと飲んだ。
ウイスキーを、ロックで。
最初は考えることを拒否していた脳も、少しずつ酔いが回ってきてほぐれたのか、これまでのことをゆっくりと思い出した。
全て、繋がっているんだろうか。
全て、同じ人物のことを指しているんだろうか。
最初は、大翔だ。
『俺、茉祐子が困ってる時に話聞いてやれなくてさ。それどころか、責めたんだ』
この話を聞いた時、これが男のことだとは考えていなかった。
でも、何のことか、誰のことか、明日大翔に聞くことができるはずだ。
次は新大阪。
『まゆこ』と呼ぶ、落ち着いた低音の声。
そして、新神戸。
彼女を困惑させていた、後ろ姿の男。
最後が、さっきの出来事だ。
彼女の部屋から『それじゃ』と出てきた男。
・・・・誰なんだよ。
俺には見当もつかない。
ブブ・・ブブ・・。
振動はすぐにおさまり、着信ではないことを知らせる。
『ケーキありがとう。冷蔵庫に入れました。おやすみなさい』
・・・・。
彼女からのメッセージに返す言葉が見つからず、そのままにした。
『おやすみ』のひと言さえ、返せない自分に苦笑いする。
何かひと言でも発すれば、形になって溢れ出てしまいそうな感情が、胸の奥にある。
冷静でいられない代わりに、俺はしばらく心を閉ざそうと思った。
『彼女には、別の男がいる』
その事実から、目を背けるために。
俺は空になったグラスに、もう一杯分ウイスキーを継ぎ足し、できるだけ何も考えずにゆっくりと飲んだ。