小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
すっきりしない頭を抱え、それでも俺は普段通りに出勤してナースステーションに入った。

「おはようございます。西島先生、昨日入院の田中りさちゃんですが・・・・」

担当患者さんの様子を看護師と一緒に確認し、いくつか指示を出してから外来の診察室に向かう。
診療予約を見ると、今日は午前中の空きが無いほどに詰まっていた。

こんなことを言うのは不謹慎かもしれないが、少なくとも今日は、空きが無いくらいでちょうどいい。

・・余計なことを考えずに済むからだ。


あっという間に昼になり、俺は救急外来の裏手にある中庭のベンチに座った。
特に時間と場所の約束をしたわけじゃないけれど、大翔と雑談をする時はここが指定席のようになっていた。

それにしても・・だ。

昨日、大翔に話がしたいと伝えた時には、これほど深刻になるとは思っていなかった。
まさか、彼女の家から・・・・。

「あーーー・・・・」

「どうした祐一郎、そんな地を這うような声出して。外来、忙しかったのか?」

「いや・・予約はかなり入ってたけど、割と時間通りに進んだ。そうじゃなくて、大翔・・・・俺・・」

気持ちが整理できていないこともあって、何からどう話せばいいか分からずにいた。
彼女と付き合っていることも、まだ大翔には話していなかったし。

「・・茉祐子のことだろ?」

そう言って、大翔は俺の肩をポンと叩いた。

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