小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
その後、彼女は会社を辞めてフリーランスになったことで、その教授とも会社とも切れたようだった。

ただそれも伝え聞いた話だから、実際にどうだったか、今がどうなのかは分からないと大翔は言った。

「俺が祐一郎に話せるのはここまでだ。あとは・・茉祐子本人に聞くしかないな・・」

「そんなこと、できるわけないだろ・・」

「まぁ、そうだよな。でも祐一郎は俺じゃないから、また違った考え方があったりするのかと思ったりもしてさ。
さて・・俺そろそろ行くよ。あんまり時間とれなくて悪いな」

「いや、ありがとう。今度は飲みに行こうぜ」

立ち上がった大翔の背中を見送りながら、昨日までの出来事と聞いた話を照らし合わせてみた。

つまり・・俺が見かけた男は、その教授・・ということになるだろうか。
そう考えるのが自然だよな。

だとしたら、昨日彼女の家から出てきた男もそうで、切れるどころか今も・・・・。

憶測に過ぎないとしても、それが事実かどうか確かめるのはなかなか酷だ。
俺にとっても、おそらく彼女にとっても。

「あー、マジかよ・・」

俺はベンチの背に頭を乗せ、空を見上げた。
彼女と付き合って、まだ2か月ほどだ。

とはいえ、長く付き合っていれば軽く乗り越えられる問題というわけでもない。

「どうしたもんかな・・」

俺は両手で顔を覆い、何かいい考えが浮かんでこないものかと思いながら、しばらくそのままでいた。

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