小児科医の恋愛事情 ～ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ～

昼前に総合病院に出勤すると、私服姿の大翔が前から歩いてきた。

「よぉ、祐一郎。今からか？」

「ああ。大翔は･･帰り？」

「そ。急患が多くて、当直明けが遅くなってさ。あ、でもどうせ昼メシ食うし、一緒に行かないか？」

早めに着いたこともあり、出勤時間まではまだ時間がある。
大翔と一緒に、病院近くのレストランに入った。

「さてと･･。俺はハンバーグ盛り合わせにするかなー。昨日の夜からロクなもの食べてないから」

「忙しいんだな。体力も気力も続くのがすごいよ」

「どうだかなー。なんだかんだ、もう限界間近かも」

乾いた笑みを浮かべて、大翔は目を閉じる。
壁に寄りかかって･･眠いのだろう。

俺は、あえて食事が出されるまで、何も話しかけずにいた。
ほんの１０分程度でも、休めればいいと思ったから。

『お待たせしました』

店員の声に、大翔が目を開ける。

「あー、ごめん。寝てたわ」

「いや、全然」

「俺さ、誰かと一緒のベッドだと寝れないんだよね。今の彼女と付き合い始めてから、自分ちのベッドより病院の仮眠室の方が良く寝れるわ」

ハハハ、と笑った大翔の話に、ほんの少し違和感があった。
一緒のベッドだと、寝れない････。

『別々に寝た方が疲れなくていいかなと思ったんだけど･･』

初めて彼女の家に泊まった時、確か彼女がそんなことを言っていた･･。