小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
全ての会議日程が終了し、多くの出席者と関係者が退場したことでフロアは埋め尽くされた。

「見つかるかな・・」

「大丈夫だよ。俺、他の人より視点が高いからきっと見つけるし、見つけてもらえるとも思う」

不安そうな彼女の手をそっと握った。

すると、『あれ? 西島?』と高浜教授が俺を見つけて寄って来る。
もちろん、その横には神崎先生も一緒にいた。

「ほらな。言った通りだろう?」

彼女に耳打ちすると、『ほんとだ』と微笑む。

「ふたりはもう帰ったのかと思ってたよ。なんだ、待っててくれたのか?」

「あ、高浜教授を待っていたわけでは・・なくて・・ですね」

「ん? じゃあ神崎を待ってたのか?」

彼女と俺は同時に頷いた。
それを見た高浜教授と神崎先生が、顔を見合わせて不思議そうにしている。

「私を・・なぜふたりが?」

緊張して言い出せないでいる彼女に代わって、俺が伝える。

「神崎先生、彼女のお母さんのお墓に行きませんか? 私がお連れします」

「え・・? なぜ西島くんが?」

「神崎、西島は茉祐子ちゃんの恋人なんだよ。だから・・全部知ってるんじゃないかな」

「・・お父さん、ママが待ってる。一緒に・・行こう」

ようやく口を開いた彼女のひと言に、神崎先生の目が真っ赤になった。
それを見た高浜教授がもらい泣きしている。

「俺も一緒に行っていいか? 一緒に、加奈子(かなこ)さんに謝ろう」

神崎先生は無言のまま、頷くことだけを繰り返していた。

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