小児科医の恋愛事情 ~ 俺を選んでよ…もっと大事にするから ~
その後も、俺はずっと彼女に抱かれていた。

そんなつもりじゃなかったのに、ソファに座ってもベッドに入っても彼女の腕がスッと伸びてきて、その重さが心地よかった。

『なんか情けないな』と、ボソッとつぶやいた俺に。
『ちょっと弱ってる祐一郎も好き』だと言ってくれた。

「だけど・・」

「ん?」

「できれば・・私の前だけにしてほしい・・かな・・。じゃないと・・その人、祐一郎を好きになっちゃいそうだから」

彼女が・・嫉妬?
ヤバイ、可愛い。

「弱ってる俺を好きになるとか・・無いと思うけど?」

彼女が考えていることをもっと知りたくなって、話を振ってみる。

「・・だって、普段とのギャップにドキドキするし、優しくしたくなるし、触れたくも・・なる。そんなふうに思う女性が目の前いたら、祐一郎だって・・」

「・・そっち行っちゃうとか、考えてる?」

「・・・・」

ちょっともう、我慢できないな。
彼女を知れば知るほど、俺だって絶対に誰にも渡したくないと思うから。

「ねぇ茉祐、キスして・・」

ねだった俺に、彼女のやわらかい唇がそっと触れてきた。
その感触が、俺の独占欲を搔き立てる。

シャツの裾から入ってきた彼女の少しひんやりした手が、俺の背中をツーっと撫でた。
腰のあたりがゾクッとする。

気持ちを昂らせつつ様子を見ていると、その手は俺のシャツのボタンを外し始めた。

そこからは・・夢見心地だった。



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