嘘つきさん
いつもの集合場所で梨奈が登校してくるのを待つ。
ポニーテールを弾ませながら音楽を聞いている女の子。梨奈だ。
気づいていなかったのか、私の前を通り過ぎようとしたので声をかける。

「梨奈!!」

「気づかなかったごめん、おはよ」

そう言って2人学校に向かって歩き出す。

「そうそう!昨日ね、先輩たちの校舎に行ったんだけど、そしたら急に知らない先輩たち
 10人くらいに名前呼ばれてびっくりしたのー!!」

「おーそうなんだ」

「昨日、実は告白されたんだよね!!」

「おお、よかったじゃん」

「さっき駅で思いっきりこけてさ、かっこいい先輩がおぶって運んでくれたの!」

「ふーん」

反応が薄い。まるで感情のないロボットみたいだ。

もっともっと、面白い話をしないと、思いつかないと、離れていっちゃう。
だから、今日も私は嘘をつく。梨奈に笑って欲しいから。一緒にいたいって思って欲しいから。

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