勇気を翼に込めて。

もぐらの歌

もぐらの歌


「津田さん、また来るの?」


「それは……」

また来てほしいの?もうきてほしくないの?


「どっち?」


先生がニヤリと笑った。


か、確信犯だ。

「どっちでしょうね。」


まるで私の心の中が読めたみたいに言うもんだから腹が立つ。


「何がどっち?かなんて聞いてないじゃないですか。」

「顔に書いてあります。」


「酷い」



そうやって痴話喧嘩をするのは久しぶりのことだ。


昔はこうやって毎日のように過ごしてきたんだ。

でも今は、


「大人の病院はどうですか?」

「どうって何?」

「寂しくない?」

胸が不意に痛くなる。なんで分かるのこの人は。私は、ずっと先生に会いたかった。寂しくて何度も泣いた。



「別に」


強がるのはきっと昔からの悪い癖が戻ってきた証拠。その原因は、すべてこいつ、


「神木先生なんかに会いたいなんて思ってないですよー!」


「じゃ、なんで来たの。」


「っ。」

墓穴を掘った。
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