中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。
異世界の聖女になんて頼らない世界
どれくらい戦い続けているだろう。
魔獣の数は、少なくなっている気がする。
でも、ダメだ。魔人を倒さなくては、魔獣は無限に湧き続ける。
「レナルド様……」
レナルドは、すでに王都に来る前から戦い続けている。白かった騎士服も、今は見る影もない。
その戦い方は、徐々に力を増しているようだった。けれど、一方で確かに限界が近いように見える。
その時、一筋の光が、私の結界をくぐり抜ける。そうか。限界なのは、レナルド様よりむしろ、私。
「聖女様!」
悲痛な叫び声が聞こえる。
それと同時に、『これで149匹。意外と時間かかったね。レナルド?』という、あまり緊張感のない声が聞こえた。
目の前にいるのは、白い獅子。軽く尻尾を振れば、光の矢は簡単に弾かれる。
その獅子が、口に咥えていた、銀髪の女性をそっと地面に横たえる。
「……ようやく、完全に魔力が回復した。聖女ナオ……。君は確かに、偉大な聖女だったよ」
額をその女性に擦り寄せるシスト。
眠るようなその人は、目を開けることがない。
「シスト……。ナオさんは」
「ナオは、最後まで戦ったよ。さ、今度こそ長い戦いを終わりにしよう」
目の前には、悍ましい見た目の魔人が立っている。
「聖女よ……。無理に引き寄せられたのは、お前も同じではないのか?」
「っ……事実だけど、今は大事な仲間たちがいるから」
今度は、絶対に負けない。
ピンクの魔力は、桜の花びらみたいな小さな光を散らしながら、魔人を捕らえる。
「魔術の深淵を」