中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。
エピローグ
「大丈夫ですか、聖女様!」
よろめきながら、駆け寄ってきたレナルド様に、なんとか頷くのが精一杯。抱きしめてきたレナルド様諸共、地面に倒れ込む。
隣では、ロイド様とミルさんの二人が、同じ現象を起こして、地面に倒れ込んでいた。
力を使い果たした私たちは、助けに来てくれたビアエルさんと冒険者、騎士たちに回収された。残りの魔獣も、倒され、王都に平和が訪れた。
王都の街並みは、残念ながら破壊されたけれど、私の大事な人たちは、みんな無事だった。
騎士たちや、冒険者の中には、重傷を負った人たちもいたけれど、目が覚めた私が、回復魔法をかけて回っている。
「聖女様、参りましょう?」
不思議なことに、私は魔人がいなくなっても、聖女のままだった。
つまり、レナルド様は、私の名前を呼ぶことができない。誰一人、私の名前を呼ぶことは出来ない。
「レナルド様、私の名前を呼べないままなんですね」
でも、はじめて会った時のような、絶望感なんて一欠片もない。今なら笑顔で、そう言える。
「……俺の聖女様。あなたは、俺だけの聖女様ですので、たとえ名が呼べずとも、もう構いません。それとも、愛しいハニーとでも、お呼び致しましょうか?」
「ひぅ?!」
「冗談です。愛しい人」
レナルド様は、俺の、愛する、愛しい、という言葉を連発する。恐ろしい攻撃力の高さだ。
「ところで、シストはあの時」
私の左肩上では、なぜか封印の箱が、今日もクルクル回っている。終わりだと言っていたのに。
目が覚めてすぐ、泣きながら、箱を拾い上げたところ、なぜかふわふわ浮かんで、シストは定位置に収まった。