中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。
聖女召喚されましたが、中継ぎらしいです
学校に向かう途中、友達と談笑していたら、急にぽっかりと、道路に穴が開いた。
気が付けば、たくさんの人に取り囲まれて、私はペチャリと、床に座り込んでいた。
周囲の人たちは、私のことを好奇の目で見ている。
ドレスを着た人たちは、ゲームや物語の中みたいな恰好をしている。
戸惑う私に、一段高いところにいる、おそらく国王陛下と思われる格好をした人が、話しかけてきた。
「召喚に成功したか。まあ、魔人が現れるという予言の日まで、あと百年ある。中継ぎの聖女とはいっても、我が国に聖女がいないというのも体裁が悪いからな」
「――――え?」
この状況を、どう判断すればいいのだろうか。
異世界転移、聖女召喚……。
おそらく、それらの言葉がこの状況にはあっているように思われる。
「あれが聖女……。ずいぶん平凡な見た目ですわね」
「――――百年後であればもてはやされるのだろうがな」
でも、聖女として召喚した割には、すでに私のことをぞんざいに扱うような空気が、周囲に漂っていた。
「レナルド・ディストリア卿。ディストリア家が、今回の担当だったな? まあ、中継ぎではあっても、聖女は聖女。不本意やもしれないが、守護騎士の役目を全うするように」
「は……。陛下のお言葉の通りに」
私の顔をちらりと見て、「平凡な娘だ」とつぶやくと、興味がなくなったみたいに、国王陛下は去っていく。説明もないまま、急に知らない世界に放り出されてしまった私は、ただ茫然とその姿を目で追いかけるしかなかった。