中継ぎ聖女だとぞんざいに扱われているのですが、守護騎士様の呪いを解いたら甘めに愛されました。

『おぉ。まさかの、カップリング成立。あのふたりがねぇ……。ところで、一人でこの大群に対応するの大変だから、そろそろ、お邪魔しても良いかな?』

 シストが、私たちの前に姿を表す。その口には、見たこともないほど毒々しい紫と緑色が混ざったネッチョリした物体が咥えられている。
 スライムだろうか。口に入ったら、お腹を壊しそうだから、咥えるのは、やめた方がいいと思う。

「俺の聖女様……。愛しています。この戦いが終わった時に、もう一度」

 本当に、レナルド様は、目が離せない。
 そんなことを、微笑みながらいうのは、やめて頂きたい。

「戦いの後の約束は、禁止です。フラグっていうものなので」
「そうですか? 愛しい聖女様」
「…………名前呼べないからって、愛しいとか、俺のとか、やめて欲しい」
「そうですか。可愛らしい」
「意地悪です」

 それだけ呟くと、魔法障壁を解く。
 途端に、魔獣の叫び声が聞こえて、一気に襲い掛かる。これからの戦いは、ひたすら戦い続けるハクスラゲームみたいになるのだろう。

『レナルドが、魔獣を倒せば倒すほど、僕は強くなる。だから、頑張ってね?』

 ほら、ハクスラゲームだ。
 でも、やり直しはきかないし、魔人を倒さない限り、無限に湧き続ける敵。
 この世界は、ゲームじゃない。

「聖女様、全てをかけて、あなたを守ります」
「……そうですね。では、レナルド様の背中は、私に任せてください」
「…………はい」

 私は、私に出来ることをする。
 そう心に決めて、迫り来る魔獣に向けて駆け出したレナルド様を追いかけた。
 
< 90 / 110 >

この作品をシェア

pagetop