君とする恋は苦くて甘い
私の恋は雨模様

「なんで、さっき泣いていたんだよ?」

キッチンにて飲み物を用意してる彼を見ずに、ざあざあと降りしきる雨を窓辺に見ながら、静かに答える。

「……ちょっと嫌なことがあっただけ」

「嫌なことって?」

「別に。コウには関係ないことだよ」

「なんだよそれ」

それ以上聞かれたくなくて、私は言葉を返さなかった。

首元に巻いているのはふんわりと彼の匂いがするふわふわなタオル。

さっきまで、私はこの激しい雨の中にいた。

学校終わり、傘を差さずに走っていたところをコウに見つかってしまい連れられるまま彼の家へと強制的に行く羽目になってしまった。

室内には、暖房が効いていて雨で奪われた体温を徐々に取り戻しつつある。

ベーシックな部屋に私たち2人きり。
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