君とする恋は苦くて甘い

「ほら、できたぞ」

彼の声に反応して振り返っては、テーブルの前に座った。

「はい、カフェオレ。熱いから気を付けてな」

「ありがとう」

湯気がでてるカフェオレが入ったマグカップを両手で包んで悴んだ手を温める。

すると、コウは私の目の前に座った。

落ち着いた茶髪に、片耳にはきらりと光るシルバーのピアス。

雨森(あめもり)康介(こうすけ)。

みんなから“コウ”と呼ばれていて、私もそう呼んでいる。

どんな時でも冷静で感情を表にあまり出さないコウだけど、とても友達思いでこうして私にも優しく接してくれる。

そんなコウと私は、中学の時は3年間同じクラスだった。

現在、通っている高校は違うけれど、たまに共通の友達と一緒に集まる仲だ。

「ねぇ、それってコーヒー?」

ふと、彼のマグカップの中身が気になった。

「そう。ブラックコーヒー」

「いつの間に飲めるようになったの?」

「白石(しらいし)に会わないうちに」

そう言って私をチラッと見たあと、ブラックコーヒーを優雅に飲む彼は、高1なのになんだか大人に見える。

私も高1なのだけれど……。
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