君とする恋は苦くて甘い

「お前はお子ちゃまだから牛乳たっぷり入れてカフェオレにしないと飲めないもんな」

つい1ヶ月前に会った時は、コウもカフェオレじゃないと飲めなかったくせに。

コーヒー飲めるようになったからっていい気に乗りすぎ。

「わ、私だって本気出せば飲めるよ!」

ムキになって返すと、コウは持っていた自分のマグカップを私に向けた。

「じゃあ、飲んでみる?」

えっ……?

一瞬、思考が停止してしまった。

だって、それって、さっきコウが飲んでいたやつじゃん。

「い、いい……」

さっきまでの自信は消え失せ、小さな声で断ると鼻で笑われた。

「ふっ。やっぱり、飲めないじゃん」

今のは違う。

飲めないとかの問題じゃなくて、間接キスを意識してしまったから。

コウは、何食わぬ顔でこういうこと平気でしてくるから、本当に心臓に悪すぎる。

雨が小降りになったらコウにお礼を伝えて帰るつもりだったのに、雨はより一層酷くなるばかりで止みそうにない。
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