この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
ここ数日、私らしくなかった態度のせいで、ディル様に心配させてしまっていたのなら、今からはいつも通り過ごすようにしよう。そう決心する。
「ディル様……。大好きですよ?」
「ああ、俺もだ。……ルシェ」
抱きしめられたその力は、なぜか息ができなくなるほど強くて、不意に泣きそうになってしまう。
ディル様がいない人生では、私は生きていられない。それは、間違いない。
あの日、結婚を断ったせいで私は、関係者に囲まれるディル様を遠くから見つめるしかなかった。
暗くて冷たい雨の日に、私の心は死んでしまった。
だから、もう一度ディル様を失うこと以外、何も怖くない。
「あの、明日から、昼間は出かけます」
「そう……。ずっと、引きこもっているから、執事のバールも心配していた」
完璧な執事、バールさんにまで心配をかけていたとは……。
死んでしまったはずなのに、急に結婚お断りの場面に戻ってきてしまったことが、私の行動に予想以上に影響を与えていたのかもしれない。
絶対にディル様の呪いを解決する方法を見つけてみせる。
だって、あと半年しかないのだから。私は、そう心に決めたのだった。