この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~

 ……そう、あの時もサーベラス侯爵家を正式に継いだディル様から申し込まれた結婚に夢見心地だった。

(この言葉には、打ちのめされたわ……)

 財力で成り上がった私の家、アインズ伯爵家と、王国で長い歴史を持つサーベラス侯爵家の結婚は、お互いの利害が一致したために決められた。
 運悪く襲った天災により、苦境に陥ったサーベラス侯爵家に多額の支援を申し出た我が家。

 周囲には、サーベラス侯爵家がもつ歴史と名誉を、我が家がお金で買おうとしているように見えるだろう。

『……可愛いな。好きだよ、ルシェ』

 でも、ディル様と私は、王立学園でもずっと一緒に過ごしていて、ディル様は私に好きだと言ってくれていた。
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