この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
手作りの朝食と夜会のお誘い
* * *
翌朝、階下に降りれば、すでにディル様は食卓についていた。
「おはよう」
「おはようございます……」
昨晩、抱きしめ合っていたことが不意に浮かんで赤面してしまう。
気恥ずかしさで、近くに寄れない私を見て何を思ったのかディル様が歩み寄る。
「おいで?」
「は……。はい」
隣に座れば、当然のように私の大好きな、苺のフレーバーティーとこんがりと温められたクロワッサンが差し出される。
「さ、どうぞ」
「あの……。これは」
料理担当の使用人は、まだ体調が戻らずに休んでいるはず。
では、この朝食は誰が用意してくれたのだろうか。
「ルシェみたいに、上手に出来なかったけど……」
「え!? ディル様が作ってくださったのですか!?」
「そうだけど?」
「……うわあ、食べるのがもったいないです。どうにかして、このまま永久保存できないでしょうか? あ、魔法に詳しいディル様なら、永久保存の方法をご存じなのでは?」