この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
それに、結婚して初めて、ディル様が学生時代から当主としても働いていたことを知った。
私が、のほほんとディル様を追いかけていた王立学園時代。
すでに、ご両親を亡くしたディル様は、叔父に補佐を受けながら、侯爵家当主としての役割も果たしていたらしい。
私はというと、跡継ぎには兄がいるため、自由に育てられてきた。
もちろん、伯爵家にふさわしい教育は受けてきたけれど……。
むしろ、Aクラスになったことで、「どこか穏やかに過ごせる目立たない貴族家に嫁に出そうとしていたのに」、と父にこれからの人生を心配されてしまったくらいだ。
それくらい、王立学園のAクラスに入るということの意味は大きい。
ディル様のそばにいたいだけだった私には、その当時理解できなかったのだけれど……。
「ディル様との結婚が破談になった直後からの婚約申し込みの数、ものすごかったもの……」