この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
引き剥がされた魔術
* * *
私の護衛をしてくださるのは、サーベラス侯爵家の騎士、ルエダ卿だ。
まっすぐな性格だという彼は、ディル様の信頼も厚い。
「あの、本当にすぐそこの神殿に行くだけなんですよ? しかも、友人と会うから、少し時間がかかるかも……」
「構いません。必ず奥様をお守りするように命を受けております」
「……誰から」
「我が主、ディル・サーベラス様以外に誰が?」
それはそうなのかもしれない。
でも、どうしてこんなにも厳重に守られているのか不思議で仕方がない。
「……どうして?」
「我が主には、敵も多いですから」
「敵?」
「不安にさせてしまったでしょうか。……余計なことを申しました」
それは、もしかしたらディル様が呪われたことと関係あるのではないだろうか。
半年しかないのだ、出来る限りの情報を集めなくては。
「ディル様の敵なら、私の敵ですね」
「え……?」