この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
たしかに、私が『好き好き』と追いかけていた関係だったけれど、卒後業間際には学園でも公認の仲だった。
(キスもしたのに……)
卒業式間際、王立学園の裏庭で二人きり、そっと交わされた口づけ。
結婚して欲しい、と言われたことはないけれど、お互い好きだと伝え合っていたはず……。
「ディル様、私に任せて……」
「ルシェ?」
ディル様には、私ではない意中の人がいるのかもしれない。
もしかしたら、私のことが嫌いになってしまったのかもしれない……。
だから、きっとこの後、私がすることは、ディル様にもっと嫌われてしまうことなのだろう。
(でも、今度こそ守るから……)
まっすぐに、大好きな人を見つめた。
初めてお姿を拝見した入学式のあの日から、ずっと好きだった……。
王立学園では、いつでも周囲をうろついて、一生懸命アピールした。