この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
驚いたように私を見下ろす、焦げ茶色の瞳。癖の強い茶色い髪。そして、褐色の肌。
砂漠の多い隣国の北にいる民族の特徴が強い彼は、祖父の代からサーベラス侯爵家に仕えているという。
その瞳は、まっすぐで透明感がある。
確かに信頼できる人なのだろう。ほとんどこれが初めての会話だけれど、なんとなく分かる。
「私は、ディル様のためなら……」
「…………なるほど。我が主が、心配される理由が分かりました」
なぜか、私を守るように距離を詰めてきたルエダ卿。
驚いていると、ルエダ卿は笑顔になった。
「ところで、どうして魔力を封じられているのですか?」
「え?」
驚いて顔を上げる。
魔力が封じられている?
確かに、私は子どもの頃から使えた光魔法が、王立学園二年の終わり頃から使えなくなった。