この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~

 けれど、お父様が方々手を尽くして調べてくれたけれど、その原因は分からなかった。
 それなのに、どうしてルエダ卿は……。

「なぜ、そう思われたのですか?」

 首を傾げて、こちらを見つめてくるルエダ卿の瞳は、なぜか金の星が瞬いているように見える。

「……俺の故郷に伝わる魔術の気配がしたもので。けれど、ずいぶん強く掛けられているのに、ほころび掛けている。まるで、ほかの魔術も一緒に掛けたのに、無理に引き剥がされたみたいです」

 それは、もしかして私がやり直していることと関係しているのだろうか。
 
「それって……」
「それに、我が主の……。あっ、しまった。奥様に余計なことを言わないように厳命されているのでした」
「え、ええ……?」

 すでに、結構たくさん話してしまったルエダ卿は、そう言って私に笑いかけた。
 なんとなくだけれど、命令に逆らって私に教えてくれたような気がする。

(二重に掛けられた魔術。無理に引き剥がされた……?)

 私に魔術がかかっているなんて、王立学園の魔法講師すら気がつくことが出来なかったのに。
 ニコニコしているルエダ卿は、きっとただ者ではないに違いない。

(もしかしたら、ディル様は、私が光魔法を使えなくなった理由に行き着いているのだろうか)

 心の中に湧いた疑問。けれど、それは神殿の前で手を振っている聖女、ローザリア様の姿を見たときに霧散してしまったのだった。
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