この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
神殿の図書室
「ルシェ様! お久しぶりね。待っていたわ」
「ローザリア様! お久しぶりです」
あいかわらず美しいローザリア様は、ピンクブロンドの髪を風になびかせている。
まるで、風の精霊が彼女の周りでだけ柔らかい風を吹かせているようだ。
「こちらの方は?」
「サーベラス侯爵家の騎士、ルエダと申します。聖女様にお会いできて光栄です」
「護衛についてきてくださって……」
「そう……。そうね、ルシェ様は、サーベラス様と結婚されたのだったわね」
微笑んだ蜂蜜色の瞳がほんの少し陰ったように見えたのは、日差しのせいなのだろうか。
Aクラスに途中から編入してきた彼女と私。
お互いに光魔法を使えたこともあって、何でも話し合える中だった。
途中から、なぜか光魔法が使えなくなった私を一番心配してくれたのも彼女だ。
「……少しお話もあるの。ルエダ様は、その間……」
「神殿までお送りしたのです。ここは安全でしょう」