この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
ディル様が、絆された形でお付き合いできることになってからは、夢見心地だった。
勉強だって、貴族としての教養だって、魔法だって頑張った。
だって、全てが一番のディルの隣に立つためには、必要だと思ったから。
(残念ながら、魔法だけは、才能がなかったけれど……)
正確に言えば入学当初、光魔法だけは才能があった。
けれど、二年生の終わりから、急にまったく使えなくなってしまったのだ。
本当であれば、叶わぬ恋だったのだと、身を引くべきなのだろう。
事実、前回の私は、すぐに身を引いた。
「……大丈夫、ちゃんと身を引くから」
「……ルシェ」
でも、それは半年後のことだ。
微笑んだ私を見たディル様が、どこか傷ついたような表情を浮かべたのは、気のせいだったのだろうか。
前回は、少しもその表情に変化はなかったはずなのに……。