この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
雨の音が激しくなる。
それが本音だというのなら、私はあの時あなたのことを一人にしてしまった。
苦しんでいることにも気がつかずに、たった一人で……。
「ああ、でも、ルシェの理想の俺のままでいたいから、最後は見ないで欲しいかな」
今日の口づけは、塩辛い。
でも、私はまだ、諦めたりしない。
今したばかりの約束は、守れないかもしれないけれど、どうしても生きていて欲しい。
それは、私の自己中心的な我が儘なのかもしれないけれど。
「愛しています」
「うん……。それに、まだ諦めたわけじゃない。だから、俺のことで心配なんてしないで」
「それは、無理な相談です」
「そう……。ごめん、嬉しい」
抱きしめられた腕の中は温かくて、ずっとまどろんでいたくなる。
雨音は、消えてくれないけれど。