この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~

「…………いいえ。ルシェ様が、そんなことされるわけないですよね? ごめんなさい。神官たちがあまりに責任を感じていたので、取り乱してしまいました」

 ふわり、と立ち上がった聖女ローゼリア様は、美しく微笑んだ。
 まるで、直前までの出来事が、なかったかのように。

「――――ルシェ様、光魔法を取り戻されたこと、お喜び申し上げます」
「え?」
「サーベラス侯爵に陛下がお声を掛けたのも、その件でしょう」
「……え? あの」

 残念と言うべきか、光魔法については、火事の直後に発動してから、再び使えなくなっていた。
 そのことを、言うべきか言わざるべきか悩んでいるうちに、後ろから引き寄せられる。

「お待たせ、ルシェ」
「……ディル様」
「……神殿で、またお会いできるのが楽しみですわ」
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