この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
一目惚れだった
お兄様が去って行くと同時に、音楽が流れ始めた。
「踊っていただけますか?」
「もちろん、喜んで」
そっと引かれた手と、まばゆいばかりのシャンデリアに、私は目を細めた。
こんな風に一緒に踊ることをいつも夢見てた。
「……会場の誰よりも綺麗だ」
「ディル様こそ、誰よりも素敵です」
交わされる言葉は、社交辞令に周囲には聞こえるかもしれない。
けれど、二人で目を合わせて微笑み合えば、その言葉は真実味を帯びていく。