この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
けれど、ゆっくりとターンしたとき、鋭い視線と目が合った。
(ローザリア様……)
「大丈夫。視線を合わせるな」
「どうして……」
「さあ、だが明らかに先日の火事は作為的だった」
音楽が止む。すでに、聖女ローザリア様の姿は、どこにもなかった。
「……ディル様」
にっこりと微笑んでいるけれど、ディル様の視線は鋭い。
こんな顔、王立学園でも、屋敷でも見たことがなかった。
「ルシェに害をなそうとするなら、誰一人許さない……」
「ディル様」
「ああ、そんなに怖がらないで?」
「怖がってなんて……」