この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
前回の私は、ディル様への失恋を押し隠して微笑んだ。
驚いたお父様が詰め寄ってきて、一週間ほど謹慎になったけれど。
ディル様の命を奪ったあと、その呪いは、なぜか私に移った。
今思えば、生きている間に移す方法だってあったのではないだろうか。
「――――ごめんなさい。ディル様、少しだけ」
この結婚は、半年間だけの期間限定だ。
(ううん、出来るだけ早く解放してあげるから……)
呪いを解除出来ればいい。
出来ないとしても、受けた呪いを私に移す方法を探すのだ。
どうせ、一度は失った命なのだ。やり直せるなら、大好きなディル様のために使いたい。
領民たちは飢えている。冬を前にアインズ伯爵家からサーベラス侯爵家への資金援助は、一刻を争った。
しかし、親戚関係にない家に一定額以上の資金援助を行うことは、王国法に反する。