この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
押しかけ妻は嫌われない
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出迎えは、予想外にも豪勢だった。
もちろん、サーベラス侯爵家は、アインズ伯爵家からの資金援助を受けたとはいっても、立て直しには少しの時間がかかるだろう。
何よりも領地と領民を大切にしているディル様が、いくら花嫁を出迎えるためとはいえ、多額の資金を投入するはずない。
それでも、目の前にはたくさんの薔薇が飾られている。
きっと、庭師が丹精込めて育てた薔薇に違いない。
「お待ちしておりました、奥様」
「……ありがとう」
顔見知りの執事が、柔和に微笑んだ。
今日から、期間限定でこの家にお世話になる……。
「ディル様は?」
「……図書室にいらっしゃいます」