この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~

押しかけ妻は嫌われない


 * * *

 出迎えは、予想外にも豪勢だった。
 もちろん、サーベラス侯爵家は、アインズ伯爵家からの資金援助を受けたとはいっても、立て直しには少しの時間がかかるだろう。
 何よりも領地と領民を大切にしているディル様が、いくら花嫁を出迎えるためとはいえ、多額の資金を投入するはずない。

 それでも、目の前にはたくさんの薔薇が飾られている。
 きっと、庭師が丹精込めて育てた薔薇に違いない。

「お待ちしておりました、奥様」
「……ありがとう」

 顔見知りの執事が、柔和に微笑んだ。
 今日から、期間限定でこの家にお世話になる……。

「ディル様は?」
「……図書室にいらっしゃいます」
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