この契約結婚、もうお断りしません~半年限定の結婚生活、嫌われ新妻は呪われ侯爵に溺愛される~
申し訳なさそうなその言葉に、ディル様に歓迎されてないことを改めて知る。
それでも、私たちは結婚してしまった。
出来るなら、険悪な雰囲気ではなく半年間を過ごしたい。
(半年後に笑って、さよならしたいから)
白い結婚が証明されれば、ディル様は好きな相手と堂々と結婚できるだろう。
それがいいに違いない。
「ディル様……?」
サーベラス侯爵家は、長い歴史を持つから、その図書室は貴重な蔵書であふれている。
本が大好きな私は、ディル様と仲良くなってからは、よくこの図書館を訪れていた。
「――――ルシェ」
日の加減なのだろうか、少し暗い図書室に一人立っていたディル様は、眉を寄せたままこちらを振り返った。
前回、私の命をも奪った呪いが、不思議なことにディル様の心臓あたりでハッキリとうごめいているのが見える。
一度、命を奪われたせいなのだろうか。それとも、ほかに理由があるのだろうか……。