先生の隣にいたかった
教室に戻ると、騒がしかった。
私は、みんなにバレないように、
屋上に視線を移した。
先生の姿は見えなかった。
でも、多分、まだ先生は屋上にいる気がした。
「七瀬さん?」
「え!あ、はい」
「私は三浦日向。よろしくね」
「あ、七瀬いおです。よろしく」
突然声をかけられて、びっくりした。
そっか、みんな、友達作ってるんだ。
私は、先生のことで頭がいっぱいで、
すっかり忘れていた。
その時、放送が流れた。
「一年生のみなさんは、
体育館に移動してください」
入学式が始まる。
私は、この瞬間を何より楽しみにしていた。
「一緒に行こ」
「うん」
友達もできた。
これからの学校生活が、楽しみだった。
先生に毎日会える。
そのことで胸を弾ませる私は、
まだ先生の気持ちの変化に、
気づいていなかった。